『ファスト&スロー(上)』(ダニエル・カーネマンさん著) ブログ記事を読もうと決める脳のしくみ

本書は2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)さんが書かれた本で、統計・心理・脳などの学問が入り混じった非常に難しい内容でした。オリジナルの書籍名は「Thinking, Fast and Slow」です。

読み進めていくと本書に登場する脳のしくみとして例えられていた「システム1(速い思考)」と「システム2(遅い思考)」はブログに役立てると感じました(この思考はシステム1で感じました)。

タイトルとアイキャッチは「システム1(速い思考)」に、リード文は「システム2(遅い思考)」に、読んでみようという意思決定をする要因になると考えました。

著者について

経済学と認知科学を統合した行動ファイナンス理論およびプロスペクト理論で有名なアメリカ合衆国の心理学者、行動経済学者です。2002年にノーベル経済学賞を受賞。1934年にイスラエルで生まれて現在は85歳、アメリカ合衆国でご生活されています。

本書について

2012年11月に単行本として出版された後に2014年6月に文庫本(初版)に姿を変えました。2019年1月に16刷が出版されているベストセラー本です。2014年9月に東大生協本郷書籍部で文庫本ランキング1位になった本で、価格は税込840円です。

システム1とシステム2ってなに?

本書を理解するための基礎となる名称で、脳で働く思考のシステムを表現しています。システム1は速い思考、システム2は遅い思考です。

システム1(速い思考)

<主な特徴>
・自動的に働くシステム
・自動的に高速で働き努力は不要がわずかで働く
・自分でコントロールしている感覚は一切ない

<性格に例えると>
・自由奔放な衝動や連想をする
・何の努力もせずに印象や感覚を生み出す
・生み出したものをシステム2の判断材料として提供

<具体的な働き>
・おぞましい写真に顔をしかめる
・簡単な文章を理解する
・声を聞いて敵意を感じる

システム2(遅い思考)

<主な特徴>
・努力を要するシステム
・複雑な計算などの困難な知的活動に注意を割り当てる
・代理、選択、集中などの主観的経験と関連づけられることが多い

<性格に例えると>
・怠け癖がある
・必要最低限の働きで済まそうとする
・システム1の衝動や連想を支配することもある
・システム1からの材料を拒否することもある

<具体的な働き>
・複雑な論旨の妥当性を確認する
・2種類のものを総合的に比較する
・あるものに注意を集中する

ブログとの関連性

タイトルやアイキャッチを見て、「何だか面白そう」とか「何となく読んでみたい」という思考になるのがシステム1。

リード文を読んで、「自分に関係がありそうだから読もう」とか「これが自分が知りたかったことだ」などと判断するのがシステム2。

と解釈して良いのではと思いました。

まとめ

「記事タイトルが大切」「起承転結でななくリード文に結論を書く」などとブログセミナーなどで言われますが、脳のしくみの関連性とピタリと合致します。闇雲なタイトルをつけることや、自分の好みだけでトップページのレイアウトを決めたりしては、読み手の脳(思考)に受け入れてもらえないのですね。

『たかがブログ、されどブログ』です。奥が深くて難しい面もありますが、人間味があって楽しさを感じます。

本記事は上巻の第1部第1章のみの内容ですが、本書には第21章まで詳しく書かれています。さらに下巻と合わせると、第5部第38章まであります。もっと詳しく知りたい方は読まれては如何でしょうか。